R-2000住宅(カナダ:カナダ政府)

カナダ政府が推奨している高断熱高気密住宅をいう。R-2000住宅は、1970年代のエネルギー危機直後に「西暦2000年までに、住宅の断熱性能をR-20以上にし、家庭で消費する暖房用エネルギーを現在の1/4にする」という目標をかかげたカナダの国民省エネルギー運動の略称である。住宅の部位の断熱性能を、日本ではK値(熱貫流率*)で表現するが、カナダではR値(熱貫流抵抗)で表す。

エコロニア(オランダ:ルシアン・クロール)






オランダ政府のエネルギー環境庁と公共住宅推進機構が共同して、大規模で実験的な環境にやさしい住宅団地「エコロニア」は事業化されました。その際に、同庁は3つの明確な開発指針「①省エネルギー、②資源のリサイクル、③住宅の品質」を開発者に課し、その指針をもとに、役割分担された9人の建築課によってやさしい環境のまちがつくられました。エコロニアは、工業団地に隣接する住宅団地の一部に位置し、開発面積約2ha、総戸数101戸のエリアで、様々な実験的な取組が試行されています。開発に際しては、干拓地であったためオランダの国づくりの伝統である治水などの基盤整備から始まり、住宅郡の集合形態や外部空間のあり方には、エコロジカルなまちづくりの概念が反映されています。また、各住宅は設計条件として共通の環境共生的な要素が求められ、さらに、合計9通りのテーマを持った住宅タイプに細分化され、特徴的で多様な住宅団地が形成されています。エコロニアの中央に配されている池は、敷地から流れ出す雨水を集める調整池になっています。池の水深は30cm程で、雨水はアシや池に生息する微生物によって浄化された後、排水される仕組みです。また、大規模な開放水面であるため、蒸発による湿度調節機能と快適なレクリエーション空間を提供しています。角地に建つ住宅は、周辺の住宅より1層分高い部分があり、クルドサックの樹木と重なりあって、印象的なまち角を創出しています。まちづくりでは、住民が主体の歩行空間をつくることが求められ、クルドサック道路や通り抜けの路地空間が整備されています。また、まちが作られた後、住民の声によって、車の交通を制限するエリアが設けられました。 「節水と建築材料の再利用」をテーマとした住棟には、風除室の分別ごみ置場や節水型の設備機器など資源を有効利用するための様々な取組がなされています。この住棟では、一般の住宅より約22%の節水を実現しています。また、建材については、200年先に解体した際にもリサイクルできることを条件に検討したそうです。各タイプの住宅で実施された実験的な取組の効果を知るために、消費エネルギー量の調査が実施されました。その結果からエコロニアの住宅は、一般的な住宅に比べて約60%のエネルギー消費量であることが分かりました。(天然ガス換算:エコロニア住宅1200m3/年、一般住宅2000m3/年)

ヘリオトロープ(ドイツ:ロルフ・ディッシュ)


「バウムハウス・樹木の家」と呼ばれているらしいです。ヘリオトロープとはギリシャ語で「太陽に向く」と言う意味で、幹にあたる支柱は直径3m高さ14..5mの中空の柱、その中には設備関係の配管・配線が通っているそうです。その柱のまわりに床が3層しかも螺旋状に付いていて円筒形の建物になっています。そしてこれは木造なんだそうです。柱を中心に240°回転します。名前の通り太陽を追っかけて廻る訳ですが、はじめは屋根についているソーラーパネルの効率を良くする為かと思っていましたので、そのためにこんな大きなものを動かすのもナンセンスやねと反感を覚えました。もちろんその発電量は動かないものに比べると3割アップだそうです。しかし廻る意義は他にもあったのです。建物の片側半分はトリプルガラス、あとの半分は断熱性能を有する壁で仕上がっています。暖房を必要とする季節や時間帯には、ガラス面を太陽に向け、暑い時はその反対になる。太陽を最大限利用して暖房費はドイツ平均の8分の1にもなるそうです。屋根に7kwのソーラーパネル、手すりに太陽熱コレクター30・、雨水利用、コンポストトイレ、と出来ることは何でも実践です。
多角面の建築体は主軸を中心に回転し、最新技術の断熱材及びその他太陽エネルギーの新しい開発素材 でできており、全く画期的なプロジェクトと言える。 将来性ある低エネルギーハウス・・・・・・ 「高級な生活感を持つスタンダード低エネハウス」とうたっている18角形の家は、 内部は螺旋系空間となっている。家の外側半分は50m2におよぶ硬質ガラス(K値 0.10-0.12W/m2)でおおわれており、保温効果を高めている。とりわけ太陽熱を効率良く摂取できるよう、このヘリオトロープは、 6.6kW/h供給の54m2のソーラーパネルが設備され太陽光に添って回転し、また家の中心である居間にいつも太陽光が入るよう設計されている。またテラスには31.5m2のソーラーパネルが設備され太陽光線を受けるべく回転している。この家は180m2の居住面積を持ち、約1.5kW/hを必要としているが、全てソーラーエネルギーにてまかなわれている。

5つの柱からなるプロジェクト(イエテボリ2050)

1・賢明かつ効率的なエネルギーの使用
  暖房や各種サービス、交通、そして工業生産にいたるまで。
  全ての分野で一人当たりのエネルギー消費を、福祉や生活の質を落すことなく
  半減させる最良のテクノロジーを追求。

2・再生可能なエネルギーの供給
  バイオマス風力発電燃料電池、海流発電、そして太陽熱の利用や太陽光発電
  co2を発生させず、地球環境に優しい再生可能なエネルギー供給を推進。

3・ライフスタイルを変え、価値観を変えることの必要性。
  自家用車を持つ発想から、共有して自動車の数を最小限に止める発想へ。
  さらに歩くこと、自転車を活用することを大切にするライフスタイルなど
  これまでの価値観を変える事によりエネルギー消費を削減。

4・エネルギーを有効活用できる都市計画。
  各種サービスやレジャーが享受できる中心を各地毎に設け、
  徒歩や自転車で快適に過ごせる環境づくりを提案。

5・燃料電池による水素の有効利用
  大型の燃料電池をコミュニティー単位に、小型燃料電池を各戸に設置。
  燃料電池により水素を作り、バイク、自転車、バス、トラックなど
  あらゆる交通機関の燃料として活用。

暖房費ゼロの家(スウェーデン:ハンス・エーク)

「新しいエネルギーを考える前に、エネルギーを使わない住宅を建てることが重要である」

今から30年前、最初に取り組んだ省エネ住宅は屋根に集熱版を搭載し、それを地下の蓄熱層へパイプで送り、地下から各室へ熱をパイプで運ぶというシステム。日本でもOMソーラーをはじめ多くのメーカーがこれに類した技術開発を行った。しかし、エーク氏はこの試みは完全な失敗作だったという。集熱版で集めた熱を地下蓄熱層へ送り、さらに各室へ送風するコンピューター制御が有効に機能せず、制御のためのエネルギー費がかかって必ずしも省エネにはならない。エーク氏が次に取り組んだのが78年のパッシブソーラーハウスアメリカ・アリゾナ州の研究者は南の窓の内側に水の入ったタンクを置き、コンピューター制御で太陽の光と熱を上手に室内暖房に利用していた。しかし、緯度の高いスウェーデンでは、いくら頑張ってトライを続けてもアリゾナのようにパッシブソーラーが機能してくれない。そこでエーク氏は、寒冷地では少ない太陽の光と熱エネルギーの効率とか採取のことを考える前に、まずエネルギーのロスを少なくすることが肝心だということに気付いた。この哲学が今まで欠けていた。「太陽エネルギーを活用することだけを考え、得られるエネルギーよりも失っているエネルギーの大きさを深く考えてこなかった」という反省。そして、住宅の場合、どこからどんな形でエネルギーが損失しているかを計算した。

主なロスは3つ。

1つは建築資材からの熱伝導ロス。

一番大きく熱を損なっている窓をはじめとして、屋根、壁、床からの熱損失。これを大幅に改善することを抜きにした省エネはあり得ない。

2つは換気。

温かい空気をそのまま外部へ排出していることの無駄。このロスに照準を当てねばならない。もちろん低気密の隙間は問題外。

3つはお湯の排水。

シャワーや皿洗いの温水をそのまま下水に流すロス。

そこで、今から25年前にエコロジカルな生活がしたいという16軒の市民のために屋根断熱厚35cm、壁断熱厚24cm、床断熱厚29cmと各部位とも高い熱貫流率の家を建てた。南側の窓を大きくし、庇を長くした。そして、南側の大きな窓の外に温室を設け、この暖められた温室の空気を換気に使った。こうした結果、これらの住宅の必要年間暖房費は250リッターで済んだ。120m2の住宅に換算すると2リッター/m2ということになる。25年前にこれだけの性能の家が建てられていたのである。
次のトライは84年。この時の屋根断熱厚50cm、壁断熱厚35cm、床断熱厚20cmで、窓はU値1.6のトリプルガラス。そして、各戸の屋根に温水パネルを設置した。この時の年間暖房費は120m2の住宅で210リッター。なんと1.75リッター/m2となる。そして今から20年前の85年からスウェーデンとドイツの省エネに関する共同研究が始まる。ドイツの熱交換機とかサッシとスウェーデンの省エネ技術を交流してゆこうというもの。インゴルシュダッド市とドレスデン市と続けて行われた。ドレスデンの住宅の性能はスウェーデンよりも低くて年間暖房費は2.5リッター/m2であった。
この時の窓のU値は1.0。これは当時のトリプルガラスの2倍、ペアガラスの3倍の性能値だという。
こうした経験を積んで99年からの無暖房プロジェクト「イエテボリ2050」が始まったのである。この住戸形式は計40戸のタウンハウス。今までの経験を集約し、南側の窓を大きく取り、二階の庇を長くし、一階の窓の上にはバルコニーが付いている。そして、各戸の南側の屋根には5m2のソーラー温水コレクターと天窓がつけられた。北側には樫の木が植えられ、玄関の前には風よけと物置を兼ねた空間が設けられた。北海道で多く見られるダブル玄関と同じ考え。このタウンハウスの屋根断熱厚は50cm、壁の断熱厚は42cm、床の断熱厚が25cm、そして窓のU値が0.085という。当然顕熱の熱交換機が付いている。北側の囲った温かい空間から取り入れられた新鮮空気は、台所・トイレ・浴室から排気される暖かい熱を交換回収する。これも質問出来なかったがおそらく90%近い熱回収率のはず。イエテボリの緯度は樺太の最北部と同じ。外気温度は冬期 マイナス21.5℃。そこで年間暖房費が0リッター/m2。このタウンハウスの売価は日本円にして3400万円という。平均的なスウェーデンの住宅に比べて換気で1〜1.5万クローネ、断熱で1〜1.5万クローネ、窓で1.5〜2万クローネ、計4〜5万クローネ (16円/クローネ) 余分に費用がかかっているという。つまり60万円から80万円高で無暖房の家が入手出来る。しかし、暖房装置が不要なことと、暖房用のランニングコストがかからないために、あっという間にこの差額は償却出来、あとは暖房費がかからないだけお買い得ということになる。寒冷地だから無暖房というテーマーが生きる。冷房を考えなければならない東京などでは参考にならないと却下していいものだろうか。東京で無暖房の家は簡単に造れる。ただ、その投資が十数年以内に償却出来るのかどうか。そして、スウェーデンと異なりヒートポンプも太陽も十分に活用出来る。どこへ、どれだけ投資した方がより効率的か。




高断熱 高気密 って?

住宅の高断熱
断熱性能とは温度の移動をせき止めする性能のことです。
住宅を高断熱にすれば冷暖房費の節約につながります。
 
住宅の高気密
隙間を減らして気密性を高めることです。
高断熱住宅にするなら当然高気密住宅になります。

高断熱は温度の移動をせき止める。高気密は隙間を減らす。
ということは、室内の空気を外に出さない、または、外からの空気を取り入れないと解釈しました。計画換気などで多少の換気はすると思いますが、空気の循環がされないままの質の悪い空気が室内にはあると思います。先日、先生に見せていただいた、教室内の温度上昇と二酸化炭素のグラフのように、これでは環境に本当によいのかわかりません。また計画換気によって、風呂場やトイレなどが冷えてしまっては高断熱高気密の意味が薄れているとも思います。
下記についてまた調べたいと思います。

省エネ先進国・スウェーデンに、暖房設備なしで真冬でも心地よく暮らせる住宅が誕生して話題を集めています。生みの親は建築家ハンス・エークさん。厚さ40cmの断熱材で家を包み込む「外断熱」と開口部の3層ガラスなどがその秘密です。暖房器具を使わなくても真冬でも室内は21℃を維持するというから驚きですね。

ドイツのフライブルク市ソーラーハウスヘリオトロープ」があります。特色は円筒形の建物の半分が三重の断熱ガラス、半分が高断熱の壁で、太陽に合わせて360度回転すること。暖房を必要とする時にはガラス面が太陽に向き、暑い日はその反対。暖房費はドイツ平均の8分の1に抑えられるそうです。

オランダで大規模に進められているのが、環境にやさしい住宅団地「エコロニア」です。「省エネ」は重要なテーマの一つですが、様々な取り組みで消費エネルギー量は一般住宅の約60%に抑えられているとか。また、「リサイクル」も主要なテーマで、建材は200年先に解体した際にも有効活用できるオーガニック材などが条件になっています。

カナダの「R-2000住宅」は世界最高水準の省エネ住宅として有名ですが、さらに熱損失を抑えた次世代住宅「アドバンストハウス」のプログラムが進行中です。高断熱仕様や高密度の断熱システム等により、全エネルギー消費量は一般住宅の3分の1から4分の1に、「R-2000住宅」と比べても約半分で済むといわれています。

換気

akgw2007-12-12


■全般換気の種類

・第1種換気
給気・排気共に機械を用いる方法であり、室内外の圧力差が生じない。そのため、建物の気密性による風力・温度差漏気の影響を100%受けることになる。

・第2種換気
機械で新鮮な空気を送り込み、換気口及び隙間から排気する方法である。室内は正圧になる。

・第3種換気
機械換気を行い、換気口及び隙間などから新鮮空気を取り込む方法で負圧となる。

・第4種換気
内外温度差、風圧によって機械を用いず換気される方法をいう。

■各全般換気の特徴

・第1種換気
機械による送風によって給気と排気を行っていることから、熱交換器を設置することにより給気と排気の熱交換をすることができ、ある程度の省エネルギー性が得られるが、電気代の大幅増大や熱交換素子の抵抗値が高くなるため、必要換気量を確保するためには、電力を消費する大型モーターファンを採用せざるを得ないため、結局は第3種換気よりもランニングコストが高くつきます。また、内外圧力差がつかないため、気密性能値によっては第3種換気の全体熱ロスと同じか悪くなる場合がある。イニシャルコストは第3種換気と比較して約2.5倍〜2.8倍高くつく。給気ダクトの汚染を防ぐためフィルターの清掃を頻繁に行わなければならない。

・第2種換気
取り入れた空気を比較的均等に各部屋に送ることが可能であり、壁内及び天井裏の材料から発生した汚染物質の流入を防ぐことができる。逆に気密性の低い建物では室内の湿気が壁体に入り、内部結露の原因になる場合もあるため、注意が必要である。

・第3種換気
トイレ・浴室などの水まわりの換気システムと共用し集中して排気を行い、空気は各室に換気口のみ設けて自然に行う方法が一般的である。気密性能が0.7cm2/m2以上の悪い値である場合、冬期間においては、内外温度差の圧力の影響を受けて1階の給気口ばかり給気量が増えて、2階の給気口からは少なくなるか、全く給気されず、あるいは排気になってしまうことがあります。したがって、内外温度差の影響があつても、それを回避するだけの室内負圧を確保することが必要になります。

それは、建物の気密性能値を0.5cm2/m2以下とするこで、1階の給気口の開度(流動抵抗値)を小さくし、2階はその分だけ大きくすることでバランスよく給気することが可能になります。また、冬場などは一般的に壁に給気口を設ける方法では、給気口から直接冷風が入り込むことになり、室内温熱環境を悪化させることになります。

家の中の寒さを持ち込まない給気方法である「給気加温システム」(当研究所開発・特許申請中)を採用することで、外気がどんなに低くなっても、第3種換気の設定必要換気量0.5回/hの60%前後の給気量が安定的、継続的に確保可能となります。第3種換気の外気による寒さの問題はこれで解決できるのです。このシステムも動力(モーター)を一切使用しないで行うことで、気密性能値が1cm2/m2位だと、必要換気量の35%くらいしか確保できないので、モーターファンを使用することにより、第1種換気の範疇になってしまいます。従って、出来るだけ建物の気密性能を上げて、環境に優しいシステムとして使用したいものです。

・第4種換気(自然換気)
改正建築基準法では、機械換気の設置が事実上義務付けられているため、機械換気装置の代わりにはならない。温度差換気は室内でも温度差を利用するもので、特に冬季に効果がある。その他に排気筒、床下給気を用いたパッシブな換気方式にも応用し、併用することが可能である。